サウナで痩せる?減る約0.5kgはほぼ水分|ダイエット効果を論文13本でわかりやすく検証消費カロリーの本当の大きさ・「10キロ痩せた」の計算・運動と食事との組み合わせ方
結論
サウナに入ると体重は減りますが、減った分のほとんどは汗として出た水分で、水を飲めば戻ります。674人を測った研究では、10分×2回のサウナで減った体重は平均で女性0.37kg・男性0.50kgでした。消費カロリーも10分で数十kcalほどの推定値で、脂肪1kg(約7,700kcalが目安)を落とすには遠く及びません。サウナは「それだけで痩せる方法」ではなく、食事と運動で痩せる生活を続けるための補助として使うのが現実的です。
「サウナに入ると痩せるって本当?」
「サウナの後に体重が1kg減っていたけど、次の日には戻っていた。意味ないの?」
サウナで汗をたっぷりかいた後に体重計に乗って、数字が減っていると期待してしまいますよね。一方で「サウナで痩せるのは間違い」という記事もあり、どちらを信じればよいか迷っている方も多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、サウナで減る体重の中身、消費カロリーの大きさ、「10キロ痩せた」という話が計算上どうなるかを、論文13本と国の資料の数値で確かめました。よく見かける消費カロリーの数字がどこから来ているのか、なぜ多めに出やすいのかまで踏み込んでいます。サウナの記録アプリ「ととのい時計」を作っている開発チームとして、運動や食事と組み合わせる現実的な方法と、脱水の危険もまとめました。ぜひ参考にしてください。
先に全体像を知りたい方へ:サウナの健康効果を研究ごとに整理したサウナの効果まとめもあります。
1. サウナで痩せるのか?よくある3つの説を判定
最初に、「サウナで痩せる」についてよく語られる説を、研究でどこまで確かめられているかで分けておきます。細かい根拠は2章以降で数字とともに説明します。
| よく聞く説 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| サウナに入ると体重が減る | 本当 | 20分ほどで0.3〜0.8kgほど減る。ただし中身はほぼ汗(水分) |
| サウナで脂肪が燃えて痩せる | ほとんど期待できない | 消費は10分で数十kcalの推定。脂肪1kgには約7,700kcalが必要 |
| サウナで代謝が上がり痩せやすい体になる | 確かめられていない | 仕組みの説明はあるが、人で体脂肪が減ると示した質の高い研究は少ない |
| サウナはダイエットに意味ない | 言い過ぎ | 脂肪を直接落とす力は小さいが、運動と組み合わせた試験では体力や血圧に上乗せがあった |
つまり、「サウナで痩せる」は体重計の数字としては正しく、体脂肪としてはほぼ正しくない、というのが今わかっていることです。ここを取り違えると、汗をかくほど痩せると思って長く入りすぎ、脱水になるという逆効果が起きます。
2. サウナで減る体重はほぼ水分(研究の数値)
サウナで体重が減る理由は、ほとんどが汗です。どのくらい減るのかを実際に測った研究の数字を見ておくと、体重計の変化に振り回されなくなります。
2-1. 674人の実験:10分×2回で女性0.37kg・男性0.50kg
ポーランドの大学で、運動習慣の少ない19〜20歳の学生674人(女性326人・男性348人)を対象にした実験があります(Podstawski ら, 2014)。90℃・湿度35%の乾いたサウナに横になって10分入り、10℃の水に30秒つかって5分休み、もう一度10分入る、という流れの前後で、裸の体重を測りました。
減った体重は、女性で平均0.37kg、男性で平均0.50kgでした。いちばん多く減った人でも女性1.2kg・男性1.3kgです。この20分の間に脂肪がこれだけ燃えることは考えられないので、減った分のほとんどは汗として出た水分です。
2-2. 体が大きい人ほど、汗で減る量も多い
同じ研究では、体格(BMI)ごとに減り方を比べています。体が大きく体脂肪の多い人ほど、減る体重も、体重に対する割合も大きくなりました。
| グループ | 平均体重 | 減った体重(平均) | 体重に対する割合 |
|---|---|---|---|
| 女性・やせ型 | 50.5kg | 0.25kg | 約0.49% |
| 女性・標準 | 57.9kg | 0.34kg | 約0.58% |
| 女性・太り気味〜肥満 | 77.4kg | 0.70kg | 約0.90% |
| 男性・やせ型 | 57.8kg | 0.32kg | 約0.55% |
| 男性・標準 | 73.1kg | 0.42kg | 約0.58% |
| 男性・太り気味〜肥満 | 93.4kg | 0.82kg | 約0.88% |
出典:Podstawski ら, 2014 の本文の表(90℃・10分×2回)。
太り気味の人ほど「サウナでこんなに体重が減った」と感じやすいのはこのためです。研究者は、体格の大きい人ほど脱水になりやすいので、サウナ中の水分補給に特に気をつけるべきだとまとめています。体重が減ったことを「効いている」と受け取るのではなく、それだけ水分を失ったサインと考えるのが正確です。
2-3. 10分×4回だと平均0.65kg
同じ研究グループは、太り気味で運動習慣の少ない20歳前後の男性45人(平均体重85.9kg)に、90〜91℃のサウナ10分と5分の休憩を4回くり返してもらう実験もしています(Podstawski ら, 2019)。合計60分で、体重は平均0.65kg減りました(最小0.34kg〜最大1.23kg)。
論文では、汗およそ1リットルが体重およそ1kgにあたると説明しています。サウナに入る時間を倍にしても、減る体重は倍にはなっていない点も見ておきたいところです。体は汗の量を際限なく増やせるわけではなく、長く入ることは「痩せる量を増やす」より「体への負担を増やす」ほうに働きます。
2-4. 減った水分は、飲めば戻る
汗で減った体重は、水やお茶を飲めば数時間のうちに戻ります。むしろ戻さなければいけない分です。サウナの後に体重を測って0.5kg減っていても、翌朝には元に戻っているのはごく自然なことで、「サウナが効かなかった」わけではありません。
体重はサウナの前後ではなく、毎朝同じ条件で
ダイエットの経過を見るなら、サウナの前後の体重ではなく、朝起きてトイレの後など同じ条件で測った体重の、週ごとの平均を見るのがおすすめです。サウナの直後は水分が抜けているぶん軽く出るので、その日の数字だけで一喜一憂しないようにしましょう。
3. サウナの消費カロリーはどのくらい?
サウナでも、まったくカロリーを使わないわけではありません。ここでは、研究で出ている数字と、その数字を読むときの注意点を整理します。よく見る数字がそのまま信じられるものかどうかがわかります。
3-1. 研究で出ている数値:10分で約67〜92kcal(推定)
18〜24歳の運動習慣の少ない男性60人を、標準体重のグループと肥満のグループに分け、90℃のサウナに10分座ってもらった研究があります(Podstawski ら, 2022)。10分間の消費カロリーは、平均体重72.5kgのグループで約67kcal、平均体重100.9kgのグループで約92kcalでした。
先ほどの10分×4回の研究では、1回目が約73kcal、2回目が約94kcal、3回目が約115kcal、4回目が約131kcalと、回を重ねるごとに増えていました(Podstawski ら, 2019)。体が温まりきるほど心拍数が上がっていくためです。
| 研究の条件 | 対象 | 10分あたりの消費(推定) |
|---|---|---|
| 90℃・10分×1回 | 標準体重の男性(平均72.5kg) | 約67kcal |
| 90℃・10分×1回 | 肥満の男性(平均100.9kg) | 約92kcal |
| 90〜91℃・10分×4回の1回目 | 太り気味の男性(平均85.9kg) | 約73kcal |
| 同・4回目 | 同上 | 約131kcal |
ちなみに、ほかのサイトでよく見る「サウナ10分で15〜30kcal」という数字は、私たちが確認した範囲では出典が示されておらず、どの研究から来ているのかを確かめられませんでした。
3-2. この数字は「心拍計からの推定」で、多めに出ている可能性がある
ここが、ほかの記事ではあまり触れられていない大事な点です。上の消費カロリーは、吐いた息の酸素を直接測ったものではなく、腕時計型の心拍計が心拍数から自動で計算した推定値です。論文自身も、高温のため別の測定機器が使えず、心拍計を使ったことを研究の限界として挙げています(Podstawski ら, 2019)。
心拍計は、ふつうは「心拍数が高い=筋肉をたくさん動かしている=カロリーを使っている」という前提で計算します。ところがサウナで心拍数が上がる主な理由は、筋肉を動かしているからではなく、皮膚に血液を送って熱を逃がすためです。そのため、サウナで心拍計が出すカロリーは、実際より多めに出ている可能性があります。67〜92kcalは「多く見積もった場合の上限に近い数字」として読むのが慎重です。
3-3. 「心臓の負担が運動並み」と「カロリーが運動並み」は別の話
93℃のサウナに25分入った19人を測った研究では、サウナ中の血圧と心拍数の上がり方が、60〜100ワットの中程度の運動をしているときに相当すると報告されています(Ketelhut ら, 2019)。この研究はよく「サウナは運動と同じ」と紹介されます。
ただ、この研究が比べたのは心臓への負担(血圧×心拍数)で、消費カロリーは測っていません。心臓が運動並みに働いていても、脚の筋肉はほとんど動いていないので、使うエネルギーまで運動並みとは言えません。「サウナは運動と同じだから痩せる」は、この研究の結論を一段飛ばした解釈です。逆に言えば、カロリーは運動ほど使わないのに心臓には運動並みの負担がかかる、ということなので、体調の悪い日に無理をしない理由にもなります。
3-4. 酸素を直接測ると、熱による上乗せは小さい
熱でカロリー消費がどれだけ増えるかを、酸素の量で直接測った研究があります。汗をかきやすくする「サウナスーツ」を着て高強度の運動をした12人を測ったところ、運動中の消費は着ないときの271kcalに対して285kcal、運動後1時間を合わせても、増えたのは約23kcalでした(Matthews ら, 2022)。研究者自身が「この増加は減量の役に立たないかもしれない」と結論しています。
サウナ室とサウナスーツは条件が違うので、数字をそのまま当てはめることはできません。それでも、「体が熱くなって汗をかくこと」で上乗せされるカロリーは、思われているほど大きくないことを示す結果です。
3-5. ウォーキングと比べるとどのくらい?
国立健康・栄養研究所の「改訂版 身体活動のメッツ表」には、ふつうの速さ(時速4.5〜5.1km)の歩行が3.5メッツ、速歩き(時速5.6km)が4.3メッツ、横になって静かにテレビを見る状態が1.0メッツと載っています。なお、この表にサウナ浴の項目はありません(座ってジャグジーに入るは1.3メッツ)。
厚生労働省の「運動基準・運動指針の改定に関する検討会 報告書」(2013年)によると、1メッツの活動を1時間続けたときの消費は、標準的な体格ならおおむね体重と同じkcalになります。これを使って、体重60kgの人の30分を比べると次のようになります。
| 30分の過ごし方(体重60kg) | 消費の目安 | 根拠 |
|---|---|---|
| 横になって静かに過ごす | 約30kcal | 1.0メッツ×0.5時間×60kg |
| ふつうの速さで歩く | 約105kcal | 3.5メッツ×0.5時間×60kg |
| 速歩き | 約129kcal | 4.3メッツ×0.5時間×60kg |
| サウナ10分×3セット(休憩は除く) | 研究の推定をそのまま使っても約200kcal前後が上限の目安 | 体重72.5kgで10分約67kcalの推定(多めに出やすい) |
サウナの行は、体重が違う研究の推定値を借りた、かなり甘めの見積もりです。それでも約200kcalです。しかも、心拍計の推定が多めに出ている可能性を考えると、実際の上乗せはもっと小さいかもしれません。サウナの後に甘い飲み物や揚げ物を食べれば、すぐに取り戻せる量だと考えておくのが安全です。
4. 「サウナで10キロ痩せた」は本当?計算で検証
「サウナに通って10キロ痩せた」という話を見かけることがあります。ここでは個人の体験の真偽ではなく、サウナのカロリー消費だけで10キロ落とせるのかを計算で確かめます。
4-1. 脂肪1kgを落とすには約7,700kcal
減量の目安として広く使われているのが、「体重を1ポンド(約0.45kg)落とすには3,500kcalの不足が必要」という経験則です。1kgに直すと約32.2メガジュール、約7,700kcalにあたります。米国立衛生研究所(NIH)の研究者による検証では、この目安は体脂肪の多い人ではおおむね当てはまり、体脂肪の少ない人では必要量を多めに見積もってしまうとされています(Hall, 2008)。厳密な数字ではありませんが、桁をつかむには十分です。
4-2. サウナだけで10キロ落とすと、何回入る計算になる?
10kgなら約77,000kcalです。これを3章の研究の推定値(10分あたり約67kcal、多めに出やすい数字)だけでまかなうとどうなるかを計算しました。
| 目標 | 必要な消費の目安 | サウナ10分の回数 | 10分×3セットで通うと |
|---|---|---|---|
| 1kg | 約7,700kcal | 約115回 | 約38日分 |
| 3kg | 約23,100kcal | 約345回 | 約115日分 |
| 10kg | 約77,000kcal | 約1,150回 | 約383日分(毎日通って1年以上) |
計算:必要な消費÷67kcal。食べる量が変わらず、サウナで使った分がすべて上乗せになるという、サウナに有利な仮定での数字です。実際には、サウナに入っていなくても座っているだけで使うカロリー(体重72kgなら10分で約12kcal)があるので、サウナによる上乗せ分はこれより小さくなります。
つまり、サウナのカロリー消費だけで10キロ痩せるには、毎日3セット通っても1年以上かかる計算です。しかも、その間にサウナ後の飲食が少しでも増えれば、差はすぐに消えてしまいます。
4-3. 「10キロ痩せた」話で、ほかに何が変わっていたか
サウナに通い始めて体重が大きく減ったという話そのものを、嘘だと決めつける必要はありません。ただし計算上、サウナのカロリーだけでは説明がつかないので、同じ時期にほかの何かが変わっていたと考えるのが自然です。たとえば次のような変化です。
- サウナに行く日はお酒を飲まなくなった、夜食をやめた
- 施設まで歩く、ジムで運動してからサウナに入るなど、体を動かす量が増えた
- 生活のリズムが整い、睡眠や食事の時間が規則正しくなった
- 体重を測る習慣がつき、食べる量を意識するようになった
こうした変化のきっかけとしてサウナが役立った、という見方なら十分ありえます。逆に、食事も運動も変えずにサウナだけ増やして同じ結果を期待すると、がっかりする可能性が高いでしょう。体験談やビフォーアフターを見るときは、「サウナ以外に何を変えたか」に目を向けてみてください。
5. 「痩せやすい体になる」説はどこまで確かか
「サウナで直接は痩せないが、痩せやすい体になる」という説明もよく見かけます。代謝・ホルモン・デトックスなど、よく挙がる理由を、研究の状況で分けて整理しました。
| よくある説明 | 研究での位置づけ |
|---|---|
| 体温が上がって代謝が上がる | サウナ中に体温や心拍が上がるのは確か。ただし出れば元に戻り、そのあと何時間も代謝が高いまま体脂肪が減ると示した研究は見当たらない |
| ヒートショックプロテイン(HSP)で代謝がよくなる | 熱でHSPが増え、インスリンの効きや脂肪に良い影響があるという仕組みは、主に動物実験で示された段階。総説の著者も、効果を確かめるための試験方法を提案している段階(Krause ら, 2015) |
| 汗で老廃物が出て痩せる(デトックス) | 汗の大部分は水分。汗で出る老廃物が体重や体脂肪を減らすという根拠は見当たらない |
| むくみが取れてすっきり見える | 水分が抜けて一時的に引き締まって見えることはありうるが、脂肪が減ったわけではなく、水分をとれば戻る |
| ストレスが減って食べすぎを防ぐ | サウナ後に気分が改善したという研究はあるが、それで食べる量や体重が減ると直接示した研究は見当たらない |
5-1. 日本の「和温療法」で体重と体脂肪が減ったという報告
日本では、鹿児島大学のグループが60℃の低温サウナに15分入る温熱療法を研究してきました。その総説の中で、肥満の患者さんが2週間この療法を受けたところ、体重と体脂肪が有意に減ったと紹介されています(Biro ら, 2003)。
ただし、要旨には人数や減った量の具体的な数値が書かれておらず、医療機関で管理された療法の結果です。一般の温浴施設の80〜100℃のサウナや、ふだんのサウナ通いにそのまま当てはまるとは言えません。「研究の芽はあるが、ダイエット法として確立したものではない」と受け止めるのが妥当です。
5-2. 代謝より大きいのは「サウナ後の飲食」
体重への影響で見落とされがちなのが、サウナの後に何を口にするかです。サウナの後は汗をかいた分のどが渇き、空腹も感じやすくなります。ここで糖分の多い飲み物やビール、揚げ物を選ぶと、3章で見たサウナの消費はあっという間に上回られてしまいます。「サウナで痩せやすい体になるか」を気にするより、サウナの後に何を食べるかを決めておくほうが、体重にはずっと効きます。
6. 運動・食事と組み合わせる現実的な方法
サウナだけで痩せるのは難しくても、運動と食事を中心にしたダイエットに上手に組み込めば、続けやすさや体の調子の面でプラスになります。ここでは研究でわかっていることを土台に、無理のない組み合わせ方をまとめます。
6-1. 運動+サウナの試験:体脂肪への上乗せはなく、体力と血圧に上乗せ
フィンランドで、運動習慣が少なく心臓病の危険因子を1つ以上持つ49歳前後の47人を、3つのグループに分けて8週間比べた試験があります(Lee ら, 2022)。
| グループ | 内容 | 主な結果 |
|---|---|---|
| 運動だけ | 指針に沿った運動(筋トレ+有酸素) | 何もしないグループより体力が上がり、体脂肪が減った |
| 運動+サウナ | 上の運動の後に15分のサウナ | 運動だけより体力(最大酸素摂取量)がさらに約2.7mL/kg/分伸び、収縮期血圧が約8mmHg低く、総コレステロールも低かった |
| 何もしない | ふだんどおり | 比較の基準 |
ここで注目したいのは、体脂肪を減らしたのは運動だという点です。運動にサウナを足したことで上乗せが確かめられたのは体力・血圧・コレステロールで、体脂肪の減り方の差は報告されていません。つまり、痩せるのは運動の役目、サウナは体の調子を上乗せする役目と考えると、研究の結果と合います。筋トレとの組み合わせ方は筋トレとサウナの順番と効果で詳しく解説しています。
6-2. 運動の後は「落ち着いてから」サウナへ
運動の後にサウナに入るのは一般的な組み合わせですが、消費者庁の注意喚起(2024年6月)では「運動直後」のサウナ利用を避けるよう呼びかけています。運動ですでに汗をかき、心拍数も上がっている状態で高温のサウナに入ると、脱水と心臓への負担が重なるためです。
- 運動を終えたら水分をとる:運動で減った分を先に戻します。
- クールダウンしてシャワーを浴びる:息と心拍が落ち着くまで待ちます。
- サウナは短めから:運動した日は、ふだんより短い時間・少ないセット数にします。
- 水風呂と休憩:水風呂は短めに、休憩はしっかり座って。
- 最後にもう一度水分:体重が減っていたら、その分を目安に飲みます。
サウナ・水風呂・休憩の時間配分と基本の流れはサウナの入り方(何分・何セット)を参考にしてください。
6-3. サウナの後の食事と飲み物(サ飯)の選び方
ダイエット中のサウナで一番差がつくのは、実はサウナの後です。のどの渇きと空腹が重なるタイミングなので、何を選ぶかを先に決めておくと失敗しにくくなります。
| 場面 | ダイエット中におすすめ | 控えたいもの |
|---|---|---|
| 飲み物 | 水、麦茶、無糖のお茶。汗を多くかいた日は経口補水液など塩分を含むもの | ビールなどのお酒、砂糖の多い清涼飲料 |
| 食事 | たんぱく質(魚・鶏肉・卵・豆腐)と野菜を中心に、主食は適量 | 揚げ物、大盛りの麺やご飯、甘いデザートの組み合わせ |
| タイミング | サウナの後、体が落ち着いてから食べる | 食べた直後にサウナへ入る(消費者庁が避けるよう呼びかけ) |
お酒については、飲酒しながらのサウナが低血圧や不整脈、突然死のリスクを高めると指摘されています(Hannuksela ら, 2001)。サウナの前と最中のお酒は避け、飲むとしても体が十分落ち着いた後に少量にとどめるのが、体重の面でも安全の面でも無難です。
6-4. 1週間の組み立て例
ダイエット中にサウナを取り入れるときの、無理のない1週間の一例です。回数は体調や生活に合わせて変えてください。
| 曜日の例 | 運動 | サウナ | ねらい |
|---|---|---|---|
| 月・木 | 筋トレ+軽い有酸素運動 | 運動後、落ち着いてから2セット | 運動を主役に、サウナでほぐす |
| 火・金 | 30分のウォーキング | なし、または短めに1〜2セット | 消費を積み上げる |
| 土 | 好きな運動 | 運動後に2〜3セット | 運動を続けるごほうび |
| 水・日 | 休み | なし | 疲れを残さない |
ポイントは、サウナを「運動しない代わり」にしないことです。「運動したらサウナに行ける」という順番にしておくと、サウナが運動を続ける動機になります。サウナに通う頻度の考え方はサウナに毎日入っていいかの解説で、サウナと睡眠の関係はサウナで眠りが深くなるかの解説でまとめています。睡眠不足は食欲が増える一因にもなるので、ダイエット中はよく眠れる入り方を探すのも一つの手です。
7. 脱水の危険:「汗で痩せる」は逆効果
サウナで痩せようとして一番やってはいけないのが、汗を出すほど痩せると考えて長く入ったり、水を飲まずに我慢したりすることです。体重は減って見えても、体にとってはマイナスしかありません。
7-1. 体重の2%を超える水分不足は避ける
アメリカスポーツ医学会(ACSM)の水分補給に関する公式見解では、運動中の水分補給の目標を、水分不足による体重の減少を2%以内に抑えることとしています(ACSM / Sawka ら, 2007)。それを超える脱水は、運動のパフォーマンスを落とすためです。
| 体重 | 2%にあたる量 | サウナで減る量の目安(研究の平均) |
|---|---|---|
| 50kg | 1.0kg | 10分×2回で0.25〜0.82kg、10分×4回で平均0.65kg(最大1.23kg) |
| 60kg | 1.2kg | |
| 70kg | 1.4kg | |
| 90kg | 1.8kg |
出典:Podstawski ら, 2014、Podstawski ら, 2019。
研究の平均だけを見ると2%には届きませんが、最大値の人は1kgを超えています。運動の後で、すでに汗をかいた状態からサウナに入れば、合計で2%を超えることは十分ありえます。体の大きい人ほど汗で失う量が多いことも、2章で見たとおりです。
7-2. 高温・長時間ほど危険が増える
サウナにたまに入る女子大学生22人に、80℃と120℃のサウナに20分ずつ入ってもらった研究では、80℃では気分が良くなった一方、120℃では緊張や疲れなどの気分が悪化し、2回目のセッションで失神した人もいました。失神を予測するサインとして挙がったのは、嘔吐と意識の混乱でした(Podstawski ら, 2023)。研究者は、120℃のサウナはたまにしか入らない女性には勧められないとまとめています。
また、90〜91℃のサウナで10分・12分・14分を比べた研究では、2分延びるごとに心拍数や血圧などがはっきり変わりました(Podstawski ら, 2019)。痩せたい気持ちから1回の時間を延ばすと、減るのは水分、増えるのは体への負担です。
こんなときはすぐにサウナを出る
めまい、吐き気、頭痛、息苦しさ、手足のしびれ、ぼーっとする感じがあれば、時間にかかわらずすぐに出て、涼しい場所で横になり水分をとってください。消費者庁の注意喚起(2024年6月)では、体調不良・発熱のとき、重い心臓や肺の病気がある人、食事の直後、運動の直後、飲酒後(二日酔いを含む)の利用を避けるよう、脳卒中の後の人・心臓病や高血圧で治療中の人・妊娠中の人は主治医に確認するよう呼びかけています。
7-3. 減量のための「水抜き」には使わない
格闘技などの体重別の競技では、計量の前にサウナで汗をかいて体重を落とす「水抜き」が行われることがあります。これは短時間で体重の数字だけを落とすための方法で、脂肪を減らすダイエットとはまったく別物です。一般の人がダイエット目的でまねをしても、体重はすぐに戻るうえに脱水の危険だけが残ります。サウナでの危険やデメリットはサウナの危険性とデメリットで詳しくまとめています。
8. ダイエット中のサウナを記録で続ける
ダイエットで大事なのは、何か一つの方法より「続けられる習慣」をつくることです。サウナをその習慣の一部にするなら、毎回どのくらい入ったかを残しておくと、入りすぎや無理を防ぎやすくなります。
特に、1回の時間を延ばすほど心拍数が上がっていくことは、3章や7章で見たとおりです。サウナの時間や心拍の上がり方を記録しておけば、「痩せたいから」と時間を延ばしすぎていないか、運動した日に負担をかけすぎていないかを、あとから自分で確かめられます。サウナでの心拍数の目安はサウナの心拍数の目安で解説しています。
ととのい時計は、iPhone・Apple Watch・Android で使えるサウナ記録アプリです。高温浴・水風呂・休憩の3つのタイマーがあり、Apple Watch で測った心拍から、温まり・冷え・回復・時間バランスの4つの要素で0〜100の「ととのいスコア」を出します。セットごとの心拍グラフ、履歴、施設名の記録、バッジの機能もあり、通った回数や入り方を振り返れます。
9. よくある質問
サウナだけで痩せることはできますか?
サウナだけで体脂肪を大きく減らすのは難しいと考えられます。入った直後に減る体重の大部分は汗として出た水分で、水を飲めば戻ります。研究で示されている消費カロリーも10分で数十kcalほどの推定値で、脂肪1kg分(約7,700kcalが目安)には遠く及びません。体重を落とすには、食事と運動で消費が摂取を上回る状態をつくることが基本です。
サウナの後に体重が1kg減っていました。脂肪が燃えたのですか?
ほとんどが水分です。汗1リットルはおよそ1kgにあたり、サウナでは短時間で0.5〜1kgほどの汗をかくことがあります。脂肪が1kg減るには約7,700kcalの消費が必要とされるため、1回のサウナで脂肪が1kg減ることはまず考えられません。減った分は水やお茶で戻してください。
サウナ1回の消費カロリーはどのくらいですか?
研究では、90℃前後のサウナに10分座ったときの消費が、体重72kgほどの男性で約67kcal、体重100kgほどの男性で約92kcalと推定されています。ただしこれは心拍計からの推定値で、暑さで上がった心拍が含まれるため、実際より多めに出ている可能性があります。インターネットでよく見る「10分で15〜30kcal」という数字は、出典が示されていないものがほとんどです。
サウナはダイエットに意味ないのですか?
「サウナだけで脂肪を落とす」という意味では、効果はかなり小さいといえます。一方で、運動と組み合わせた試験では、運動だけの人より体力(最大酸素摂取量)が伸び、血圧やコレステロールが下がったという結果があります。体脂肪の減り方に上乗せは示されていませんが、運動を続けるごほうびや、疲れを抜く時間として使う価値はあります。
毎日サウナに入れば痩せますか?
毎日入っても、サウナで消費するカロリーは脂肪を大きく減らすほどにはなりません。フィンランドの研究では週4〜7回入る人に心臓や脳卒中のリスクが低いという関連がありますが、体重が減るという研究ではありません。毎日入るなら、水分補給と体調の確認をセットにしてください。
筋トレの前と後、サウナはどちらがいいですか?
入るなら運動の後が一般的です。サウナの前に体の水分を減らすと、トレーニングの質が落ちやすくなります。ただし消費者庁は「運動直後」のサウナを避けるよう呼びかけているので、運動の後は水分をとってクールダウンし、息と心拍が落ち着いてから入ってください。
痩せたいので長く入ったり、汗をたくさんかいたりしたほうがいいですか?
おすすめしません。長く入るほど減るのは水分で、脂肪の減り方はほとんど変わらないと考えられます。体重の2%を超える水分不足は運動や頭の働きを落とすとされ、高温で長く入るとめまいや失神の危険も高まります。時間は短めに、汗で失った分は必ず飲んで戻してください。
サウナの後のビールはダイエットに悪いですか?
カロリーの面でも安全の面でも控えめが無難です。サウナで消費したカロリーは、お酒やおつまみで簡単に上回ってしまう程度です。また、飲酒しながらのサウナは低血圧や不整脈、突然死のリスクを高めると指摘されていて、消費者庁も飲酒後のサウナ利用を避けるよう呼びかけています。
10. まとめ
サウナで体重は減りますが、その中身はほとんどが水分です。ダイエットにサウナを使うなら、役割を正しく知っておくことが一番の近道です。最後にポイントを振り返ります。
- サウナで減る体重は20分で平均0.4〜0.5kgほど、ほぼ汗(水分)。飲めば戻るし、戻すべき分
- 消費カロリーは10分で約67〜92kcalという研究の推定があるが、心拍計からの推定で多めに出ている可能性がある
- 「心臓の負担が運動並み」は「カロリーが運動並み」ではない
- サウナのカロリーだけで10キロ落とすには、毎日3セット通っても1年以上かかる計算
- 運動+サウナの試験で体脂肪を減らしたのは運動。サウナは体力・血圧への上乗せ役
- 汗を出すほど痩せる、は逆効果。体重の2%を超える水分不足や高温・長時間は避ける
今日からできることは、サウナを「運動したごほうび」にして、サウナの後に何を飲み食べするかを先に決めておくことです。次に入るときは、無理のない時間配分で入ってみてください。サウナの効果全体を知りたい方はサウナの効果まとめもどうぞ。